イベント参加報告

2017ユーザー会参加報告

2017.08.09

第1回東京地区CTユーザー会

虎の門病院 川内先生からの開会挨拶
虎の門病院 川内先生からの開会挨拶

2017年7月15日(土) AP品川にて首都圏東芝CTユーザー会第1回 東京地区CTユーザー会が開催されましたので、その参加報告をさせて頂きます。 当日は東京でも気温が30度を超える猛暑日となり、品川駅改札口を出てからは強烈な日光にさらされながら、会場に向かいました。定刻の15分ほど前に会場につくと、この猛暑日にも関わらず、すでに大変多くの参加者で会場が埋め尽くされていました。第1回の開催において、このような盛況ぶりがうかがえるのも、日ごろからの東芝CTへの関心や高精細CT-Aquilion Precision-への注目度の高さがうかがえました。


 

プログラムは、東芝メディカルシステムズからの最新技術報告に始まり5人の先生方による『明日から使える東芝CTテクニック!』の講演、ユーザー会デスク報告、そして国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 石原敏裕先生による特別講演『高精細CT-Aquilion Precision-』でした。 東芝メディカルシステムズからの最新技術報告では2ROOM対応Angio-CTについて紹介されました。Angio-CTの以前からの課題であったCTの稼働率の低さに対して、通常時はCT装置とAngio装置を別々の部屋にセッティングし、必要時に応じてCT装置がAngio室に移動することで、CTの稼働率の低さをカバーするというシステムになっていました。 従来から、寝台やガントリー位置を変えずにAngio-CT装置を稼働させることにこだわってきた東芝らしい発想であり興味深かったです。既存のAngio室に設置することは難しいですが、今後の新しいHybrid Emergency Roomの基準モデルになる可能性は大いにあると思いました。

東京ミッドタウンクリニック 柴田先生
東京ミッドタウンクリニック 柴田先生

ユーザー講演の検診施設におけるAquilion Prime SPの有用性の講演では、AIDR3Dを使用することにより頭部で約25%、胸腹部で約70%の被ばく線量低下が可能との報告がありました。また、AECの設定SDの見直し、Wide-VolumeスキャンやPure Vision Opticsの使用前後によるDLPを比較し、さらなる被ばく低減と検診画像としての画質の担保を非常によく研究されていました。同じ、放射線技師として被ばく線量の低減について改めて考えさせられる講演でした。

東海大学医学部付属八王子病院 茂木先生
東海大学医学部付属八王子病院 茂木先生

Test Bolus Trackingを用いた肺動静脈分離撮影の講演では、Test Bolus Tracking 中にPVのCT値が150HUになったときに、オートでスタートさせるという撮影方法でしたが、PAとPVが非常によく分離された画像が得られていました。PVの立ち上がり時間を把握することを優先する方法であり、オートでスタートする分安定性も高く、まさに明日から使える技術でした。

東京警察病院 土屋先生
東京警察病院 土屋先生

FIRST BRAIN(急性期脳梗塞)の使用経験の講演では、LCD*の強度を変化させた時のMTFやCNR,NPSについて詳しく研究されていました。LCDの強度を上げるとNPSが低くなるが、MTFを考慮して適切なLCDの設定が重要だと勉強させていだだきました。再構成に時間がかかること、読影に知識が必要などの問題点も存在しますが、FBPで急性期脳梗塞への疑いを持った時に、それを確信へと変えるMRIよりも簡易的な技術として今後ますます発展が望まれると思いました。

*LCDとは、低ノイズ・コントラスト改善の逐次近似のパラメーター


 

石川島記念病院 西村先生
石川島記念病院 西村先生

心臓CTでの被ばく線量低減、造影剤低減の取り組みの講演では、非常に細かい部分まで被ばく線量低減、造影剤低減に対し取り組んでいることが良く伝わってきました。自作ファントムの作成から始まり、出荷時のSDから診断に影響を与えない最適なSDの設定、低管電圧撮影の検討、撮影時の腕のポジショニングの工夫、Real Prepやスカウト撮影の線量低減までも意識した意気込みは非常に感動しました。

国立がん研究センター中央病院 石原先生
国立がん研究センター中央病院 石原先生

そして最後には石原敏裕先生による特別講演『高精細CT -Aquilion Precision-』では、高精細CTであるAquilion Precisionの特性について大変詳しく講演していただきました。検出器0.25mmの高精細CTは、肺野病変の検出に威力を発揮すると思っていましたが、今回の講演では、それ以外にも肝胆膵領域のリンパ節の検出にも有用であり、今後の診断のストラテジーを変化させる可能性があると聞き、さらに興味を持ちました。

順天堂大学医学部附属順天堂医院 木暮先生からの閉会挨拶
順天堂大学医学部附属順天堂医院 木暮先生からの閉会挨拶

今回、本ユーザー会に参加し、日常より、よりよい画像提供、患者さんへの被ばく低減に挑戦している先生方の講演を聞き、私自身取り組まなくてはならない課題がたくさんあることを実感しました。そして、その取り組みを行えるもしくは研究できる装置があることに非常に嬉しく思いました。今後は同じ、東芝ユーザーとしてその装置のスペックを最大限に生かし、本日公演された先生方のようによりよい画像の提供、被ばく線量の低減に努めていきたいと強く思いました。

虎の門病院 放射線部 時森 貴央


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