イベント参加報告

2017ユーザー会参加報告

2017.11.15

スキルアップセミナー in Tokyo 参加報告

2017年9月6日、首都圏支社会場にてスキルアップセミナー in Tokyo が開催されました。


今回のセミナーは、ご講演として最新情報と心臓CTの基礎、さらにQ&A形式による各施設の撮影方法や工夫を紹介していくプログラムでした。


まず最新情報としてAquilion Prime SPのX線出力側の改善点がありました。X線エネルギー分布の最適化として、低エネルギー成分のカットによる被ばく低減や、高エネルギー成分の有効活用によるアーチファクト減少などを詳細に話して頂きました。またAIDR 3DやSEMARのような画像再構成技術による画質向上の効果を、臨床画像とともに提示して頂き、視覚的にも理解しやすい内容でした。さらにワークステーション Vitrea によるCardio FFRの流体解析については、流体力学によって算出された血流動態から、冠動脈の冠血流予備能比が仮想的にFFR 値として算出されるプログラムであり、今後需要の多くなる分野です。個人的にもまだ勉強不足な分野であり、流量・流速・圧力を解析していく上で興味深い内容でした。最新装置であるAquilion Precision CTは、体軸方向と面内方向の検出器素子の縮小化により、細かな生体情報を表現する超高精細CTとなっていました。従来CTでは面内分解能が限界であったため、微細構造の描出には限界がありましたが、Aquilion Precision CTが登場したことで、眼動脈や肺微細構造、冠動脈狭窄など臨床における画像描出能が改善したことで、将来的な有用性をとても感じました。


次に心臓CTの基礎知識として、心電図、撮影法、再構成法、各分解能など様々な視点から解説して頂きました。心電図は心臓の検査をする上で必要不可欠な知識です。放射線技師としてはあまり馴染みのない分野ですが、拡張期・収縮期の心臓動態と電気信号である心電図を同時に説明することで、とても把握しやすい内容でした。撮影・再構成方法については、理想的な心電図同期の重要性や適切な再構成範囲を生データから抽出することによって正確な画像データが取得できるため、Heart NAVIやスキャンモードの種類などの役割をそれぞれ理解し、利用していくことが必要だとわかりました。私自身も日常の心臓CTでは時間分解能の決定をする際、Helical Pitchの選択に迷うこともありましたが、東芝装置搭載のHeart NAVIはとても信頼性の高いシステムであるため、今後も積極的に有効活用していきたいと思いました。

続いてQ&A形式では、不都合な条件下(不整脈・石灰化・ステント留置後・CABG後など)で心臓CT撮影する際の方法・工夫などが紹介されました。アドバイザーの川内覚先生の貴重なご意見をはじめとして、各施設ではどのような工夫をしているのかを聞くことができました。どの施設も同じような難しい症例に直面しているのだなと思うと同時に、そのような場合に対応するための撮影方法や条件設定を学ぶことができ、改めてHeart NAVIやPhase NAVI、心電図同期スキャンモードなどの適応が重要であると感じました。

今回のセミナーを通じて、心臓CTとは何かを改めて認識することができ、今後の臨床現場の発展させるために必要なことがわかり、大変有意義なセミナー受講となりました。セミナーを開催して下さった関係者の皆様に感謝申し上げると共に、今後もこのような機会を引き続き作って頂ければと思います。


公益財団法人 東京都保健医療公社 豊島病院


坂井 圭吾

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