イベント参加報告

2018学会・研究会・セミナー参加報告

2018.05.25

JRC2018 参加報告 その2

毎年のことではあるが、新年度が始まり日常業務もなかなか落ち着かないこの時期にJRCが開催される。「事前準備を完璧に済ませて?学会場に向かいたい!!」といつも思っているが、そんなことは出来たことは一度もない。今年も例に洩れず、十分な準備が出来ないまま学会場に向かうことになった。しかし、今年は準備不足を補うためにCypos閲覧用のPCを携帯することにした。英語スライドに英語発表だと、小生は何も理解できない。でもCyposを閲覧できれば、日本語でスライドの内容を確認出来るので役に立つのではないかと思った訳である。効果は予想通り、小生と同様に英語が苦手な方にはお勧めです。


今年の学会は、12日の計測(CT)線量評価のセッションから参加した。計測のセッションでは、CT検査時の被ばく線量、特に臓器・組織線量の評価を目的とした報告があり、低管電圧撮影やDual-Energy CT、Organ Dose Modulation、Snフィルタ等の様々なスキャン技術を用いた報告が行われた。CT装置に表示され、診断参考レベルにも用いられているCTDIvol・DLPはCT検査の被ばく線量を管理するためには優れた線量指標だが、局所被ばくを評価するにはやはり詳細な検討が必要であり、様々な条件下で臓器・組織線量の変化について理解できた。また、自作ファントムを用いた妊娠初期の胎児被ばく線量に関して検討した報告では、AAPMが提唱しているSSDE(Size-Specific Dose Estimates)が胎児被ばく線量の推定に役立つことが示された。妊娠に気付かずにCT検査を行ってしまった際や、妊婦のCT検査依頼があった際に、胎児の被ばく線量には非常に気を遣うが、CTDIvolをSSDEで補正することで胎児線量を推定できることは朗報だと思います。興味のある方は是非、インターネットで「AAPM SSDE」で検索して下さい (英語のPDFはいつでもダウンロードできます。) 。余談ですが、CTユーザー会の参加報告で計測セッションの報告から始めましたが、個人的には、いつもCTのセッションだけを聞いているより、計測や防護を専門に研究されている先生方の発表や質疑を聞くことが、とても新鮮で勉強になります。可能であれば、一般撮影やMRIのセッションも参加してみたいのですが、時間が限られていてなかなか実現は出来ないですね、残念です。


さて、CTのセッションですが、キヤノンが開発した超高精細CT (Aquilion Precision)に関する発表が多くありました。超高精細CTのセッションが、解像特性、体軸方向特性、逐次近似再構成、心臓と4つもあり、Precisionはこんなにも導入が進んでいるのだと驚きました。裏を返せば、高解像度のCTを臨床サイドが求めたいたとも言えると思います。CT装置を操作する診療放射線技師としては、装置の特性を解明し理解することが重要であることは判っているのですが、出来れば心臓だけでなく頭部、胸部、腹部など臨床での有用性を早く聞きたい気持ちが抑えられません。来年は臨床報告(倫理の問題もありなかなか難しいかもしれませんが・・・)が増えることに期待したいです。


話は変わりITEMのキヤノンブースに足を運んでみましたが・・・・人が多すぎる(@_@)。CT装置のそばに近づくのも大変だし、当然CTのブースも人だらけ・・・今年は最新情報を聞くのを諦めるしかないか・・・と思っていたのですが、土曜日のITEM終了間際にブースを訪ねると営業の方とアプリの方にお会いすることができました。ちょっとだけ最新情報を聞けたので、簡単に報告します。川内さんの報告にもありましたが、Aquilion PrecisionにDeep Learningを用いた新しい再構成技術「AiCE」が搭載されたそうです。AiCEは、Full-IR再構成法の「FIRST」を学習することで、高画質と画像再構成時間を短縮してくれる再構成方法だそうです。あらかじめ那須工場でお勉強してお利口さんになっているんだって、すごい技術ですね。FIRSTと同等の画質で再構成時間は大幅に短縮できると聞きました。AiCEが優秀なことも感心しましたが、やはりFull-IRの計算量は膨大なんだと改めて思いました。現状AiCEはPrecisionにだけ搭載されますが、ONE、Primeに搭載されることを期待せずにはいられません、キヤノンさんの今後の展開に期待したいですね。


学会場でもCTを通じて知り合った皆様と色々お話し出来て有意義でしたが、夜の部も例年通り頑張りました。今年はすこぶる体調が良く、予定通り?ミッションをクリアしました。


発表、座長、司会、専門講座と盛りだくさんで忙しいJRCでしたが、今年も充実した4日間を過ごすことが出来ました。

初日からの学会参加を許していただいている職場の諸兄姉に感謝し、今回の参加報告を終えます。


 


千葉市立海浜病院 放射線科 高木 卓

ページトップへ