イベント参加報告

2018学会・研究会・セミナー参加報告

2018.10.30

第46回JSRT秋季学術大会 参加報告1

2018年10月4日(木)から6日(土)まで仙台国際センターにて第46回日本放射線技術学会秋季学術大会が開催されましたので、その参加報告をさせて頂きます。


仙台の地でJSRTの秋季学術大会が開催されるのは、2010年以来8年振りでした。その時も私は参加したのですが、当時と比べると地下鉄が開通したお陰で会場へのアクセスが抜群に良くなり(仙台駅から5分で到着しました)、会場自体も新しく展示棟が完成していました。まるで以前とは別物の会場のようであり、まず到着して驚いた次第です。お陰で、今回私は初日の9時20分のセッションにて発表だったのですが、朝一番の東京発の新幹線に乗っても十分に間に合うことが可能でした。

今回の学会のテーマは、「震災から7年 復興と放射線技術学」ということであり、災害医療や震災復興などがキーワードとなり、様々な講演やシンポジウムが企画されていました。特に最近は、地震のみでなく、台風や水害により病院にも大きな被害が及ぶことがありますので、今まで以上に興味を持ってこれらを拝聴していました。幸い首都圏は東日本大震災以降、自然災害により大きな被害を被ったことはありませんが、「地震が起きて停電が起きた時にはどうすればいいのか?」「放射線技師にできることは何か?」ということを考えるきかっけとなりました。

ちなみに停電して電源が落ちてしまった放射線機器(CTや血管撮影装置)の電源を再投入する際には、そのまま電源をオンにするのではなくて、一度ブレーカーを落としてから電源を入れなくてはいけないないそうです。そうしないと装置に高電圧が一気にかかり、基盤などに負荷がかかり故障の原因になるそうです。先日の大阪北部地震の停電の際にもそのまま電源を入れてしまった装置の多くが故障してしまったそうですので、皆様も心のどこかに留めておくと良いかもしれません。


CTの分野においては、やはり近年のトレンドであるのDeep learningを利用した画像再構成技術(キヤノンではAiCE)に注目しました。初日のランチョンセミナーでは、「MBIRからDLRへ ~FIRST&AiCEのポテンシャル~」と題して、FBP、AIDR3D、FIRST、AiCEのファントム画像、臨床画像を用いた様々なデータの比較が行われていました。AiCEでは、SD、NPS、CNRが改善されており、いずれもFIRSTよりも優れているとのことでした。それだけでなく、AiCEでは、逐次近似(応用)再構成特有の画像の“違和感”というもの見られませんでした。画像再構成時間もAiCEではFIRSTよりも短縮され、マトリックス数1024×1024の画像を約1700枚再構成するのに、FIRSTでは、43分20秒かかるのに対して、AiCEでは6分30秒と約1/7の時間でした。AiCEでは、画像再構成時間がずっとかかるものと思っていましたので、このデータには驚きでした。AiCEは、現時点ではマトリックス数1024のみの対応ですが、今後はマトリックス数512にも対応するそうなので、Aquilion Precisionのみでなく、Aquilion ONE Genesisなどにも導入される可能性があるそうです。このようにAiCEは、今後の発展が非常に楽しみな画像再構成技術であり、FBPやAIDR3Dに代わる画像再構成の“エース”になる日も遠くないと感じた次第です。

その他、2日目のランチョンセミナーには、楽天球場で売られているお弁当がお配布されたり、学会の懇親会には楽天球団のビールの売り子が登場したりと、大会長や実行委員の“楽天愛”も大いに感じることができました。空き時間には、会場近くに仙台城跡地にも足を運び、当時の伊達政宗の野望に想いを馳せながら楽しい3日間を過ごすことができました。

来年の秋季大会は大阪で開催される予定ですので、皆様の日々の研究で得た“おもろい”ことを発表しにいってはいかがでしょうか?


国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 放射線部

川内 覚

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