イベント参加報告

2018学会・研究会・セミナー参加報告

2018.12.04

スキルアップセミナー(11月) 参加報告

2018年11月10日、キヤノンメディカルシステムズ株式会社 首都圏支社でスキルアップセミナー AquilionONEの心臓CTの理解を深めよう!が開催され参加させて頂きました。


まず始めに最新情報の提供ということで、高精細CT装置Aquilion Precisionと新たな再構成技術AiCE(Advanced Intelligent Clear IQ-Engine )の紹介がありました。Aquilion Precisionを使用した臨床画像では、冠動脈のステント内の再狭窄部位や下肢動脈の末梢まで描出されている3D画像を提示して頂きました。見た瞬間衝撃を受けました。臨床的に有用であるのは一目瞭然で画像を見慣れていない医師や患者に説明する際にも視覚的に理解しやすくなると思いました。本装置を使用することで穿通枝の描出や聴器の精査、肺の微細構造など様々な部位に対して画像診断が大きく向上し、質の高い医療を提供する手助けになると思いました。


AiCEはAI技術を利用し、ノイズの低減と空間分解能が向上する再構成技術です。昨今急速に進化するAI技術は、低線量領域の画質の改善つまり被ばくの低減に寄与する技術だと紹介して頂きました。日進月歩の医療の現場でAI技術を取り入れることは読影や撮影に大きく躍進することだと思っています。


最新の装置や技術を紹介して頂いたことで目から鱗が落ちる思いでした。と同時にこれらを扱い性能を発揮させるのは最終的には我々放射線技師であるため、日々研鑽に努めていかなければならないと感じました。


次に心臓CTの基礎知識として心電図の基礎、撮影方法、再構成方法などを説明して頂きました。心電図を利用した検査に立ち会う機会は珍しくないと思います。しかし、馴染みのない分野であるのも正直なところです。刺激伝導系から丁寧に説明して頂き、知識の土台である部分をさらに固められました。電気信号と心拍を絡めて撮影のタイミングなどを教えて頂いたので把握しやすかったです。Heart NAVIや心電図VolumeEC、Phase NAVIといったアプリケーションの解説では、最適な撮影条件、心拍位相、最適線量を算出するので心臓CTに不慣れな技師でも検査を行なうのはそう難しくないであろうと思いました。高心拍や不整脈といったケースでも有用な画像を提供できるのはこれら心電図同期アプリケーションとADCTならではだと思います。

ワンポイントアドバイスでは冠動脈サブトラクションについて議論していたのが印象的でした。サブトラクションでの解析をすることにより感度、特異度が高いことが発表されています。しかし、サブトラクションで検査をしている施設はまだ少なかったようです。その理由としてはカルシウムスコアの値、心拍、息止め時間等の制限があるからだとおっしゃっていました。CABG術後の撮影に関しては、造影剤の注入方法や撮影方向が切り上げなのか、切り下げなのか、スキャン方法はHelicalなのかVolumeなのか各施設の創意工夫など様々な意見が聞けてとても参考になりました。


最後に3Dワークステーションのトレーニングということで画像解析の講座がありました。解析画像の種類と用途の説明があり、患者にとって診断能がより高い画像を提供することが責務であると思いました。画像解析で役立つテクニックを教えて頂きました。装置の性能を引き出し、処理にあたる技師の負担軽減も視野にいれていかなければならないと感じました。


今回のセミナーに参加できたことで自身の見聞を広められ、他の施設の取り組みを聞くことができて貴重な時間を過ごせました。


このセミナーの開催に関わった多くの方に感謝申し上げます。ありがとうございました。


 


東京都健康長寿医療センター


小宮 慎太郎

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