イベント参加報告

2019ユーザー会参加報告

2019.05.28

首都圏キヤノンCTユーザー会 ユーザーミーティングin Chiba 3rd 参加報告

四方山話風景
四方山話風景

2019年3月23日千葉市文化センターにて、ユーザーミーティングin Chiba 3rdが開催されました。各施設の様々なCT撮影の工夫が盛り込まれたユーザー講演や、内容をより深く掘り下げる質疑応答形式の「四方山話」があり、普段の業務のスキルアップに繋がる内容に加え、特別講演では高精細CTの開発当初の話や実際の画像も含めて聴講することができ、大変充実した会でした。

ユーザー講演1つ目は、銚子市立病院の紙谷先生からCTCについてのご講演でした。特に興味深かった内容は、前処置の経口造影剤をガストログラフィンからコロンフォートへ変更した際の使用経験および工夫についてで、コロンフォートに変更当初、コストは安くなり、水に溶かす手間も省け、患者からは「飲みやすい味ですね」と好評だったそうですが、以前の画像と比較して残渣が増え、診断能が下がったとのことでした。その対策として、コロンフォートに水を加えて飲むように変更したところ、残渣の増加が解消されたとのことでした。ちょうど自分自身が去年からCTCの撮影に携わるようになったこともあり、前処置の意味合いについて大変勉強になりました。


次に私の先輩である八巻先生から、CTAの撮影条件についての講演でした。当院では昨年「Aquilion ONE」を導入し、3D-CTAの撮影を64列装置から大半をONEで撮影するようになり、各部位に適した撮影条件を組み直しました。たとえば頸部3DCTAでは、ガントリー回転速度を64列装置の条件より速く設定してもView数を担保出来るようになったことで、撮影時間を短く設定することが可能となり、頚静脈の描出を最小限に抑えることが出来た画像が提示されていました。頸動静脈のCT値の時間変化に関しては、頭頚部のアンギオ画像を用いてとても分かりやすく説明していただき、総スキャン時間8秒以内が望ましいことを視覚的に理解することが出来ました。また冠動脈CTは特に内容が深く、心電図のP波を見ることの重要性や、RR75%(拡張中期)よりもSF(緩速流入期)を意識した独自の各心拍・ガントリー回転速度・回転数ごとの時間分解能曲線や、triple rule out:TRO(肺塞栓・冠動脈疾患・大動脈疾患の同時撮影)の撮影条件など、内容が盛りだくさんでした。


次に東京女子医科大学八千代医療センターの福田先生より、小児先天性疾患におけるADCTについての講演でした。小児撮影は、体格の小ささにより求められる分解能が高いこと、放射線感受性の高さや、余命の長さにより被ばくを最小限に抑えたいこと、体動抑制の難しさなど、非常に厳しい条件下での撮影条件の設定が求められます。それら撮影条件の考え方、経緯などをスタイリッシュな副題「~ここに生まれた君を守り、未来に輝く君を支える~」から熱意のこもった講演を聴くことができました。特に印象深かったのは造影検査で、成人であればインジェクター注入による動脈相・平衡相の撮影を行うところ、注入負荷の軽減・被ばくの最小限化・動脈と臓器の同時評価を考慮し、手押し50秒注入・60秒撮影を採用し、冠動脈瘤など小さな疾患も描出出来ているとの事でした。初めて見る症例も多く、とても興味深い内容でした。


最後の特別講演は、静岡がんセンターの中屋先生から最新情報を含めた高精細CTのお話でした。質疑応答時の興味深い内容として、高精細CT装置とその他通常のCT装置が混在する普段の業務において、全ての撮影を高精細CTで行うわけにはいかない為、トリアージのように適切な‘切り分け’をすることで外科系の術前や膵臓の評価など、「どの検査で高精細が求められるか」を意識出来る内容でした。


会終了後には懇親会が組まれていました。「研究会・勉強会での本題はこっちである」という話を、いつも諸先輩をはじめ色々な方々に聞かされるのですが・・実際、その通りだと思いました。特に現場における実際の業務や技師法改正後の業務対応などの話題は、会場内ではなかなか議論出来ない、しかし議論がしたい!聞きたい!と思う事もあり、その機会はまさに‘ここ’がそのような場であり、他施設の方との繋がりも深めることができます。これからもこのような機会(チャンス)が設けられていたら、積極的に参加していきたいと思います。


亀田総合病院 白倉知明

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