イベント参加報告
2022年学会・研究会・セミナー参加報告
第20回 CTテクノロジーフォーラム参加報告
2021年12月11日(土)に第20回CTテクノロジーフォーラム(CTTF)がwebにて開催されましたので、参加報告をさせて頂きます。
テーマに「Challenge」と掲げられたように、プログラムは“キャリアアップ”、“チャレンジ”といった言葉がキーワードとしてマッチするような、世話人の想いが詰まった構成でした。内容は、リフレッシャーズ、シンポジウム1「キャリアアップのためのチャレンジ」、シンポジウム2「臨床へのチャレンジ」、特別講演という4部構成となっており、日常臨床や研究活動を進める上で、各分野のエキスパートの先生たちがどのような考えを持っているのか、そして我々がどのような心構えであるべきなのかということを、非常に分かりやすく学ぶことができました。今回の参加報告では、特に私が印象に残った発表内容について、紹介したいと思います。
リフレッシャーズでは、「CT検査を左右する?! ファーストコンタクトの重要性」というテーマのもと、豊川市民病院の伊藤光代先生の講演がありました。我々が、日常臨床で患者さんと接遇する上での注意点や改善方法等について、CT検査に焦点を当てて、詳細に解説していただきました。改めて言うまでもありませんが、安全で質の高い良いCT検査を行うためには、患者さんと良好な人間関係を築くことは、必要不可欠です。「お互いの第一印象は1秒で形成され、続く4秒間でその人の印象は決定的になる」「人の“感情的印象”を決めるのは、外見が55%、音声が38%、言葉の内容が7%」、と言われているように、誰かと初対面で会ったときに、相手の印象は、ファーストコンタクトで決定され、かつ感情的印象を決めているのは、話す内容ではなく外見(身だしなみ)や音声(話し方)であるということを聞き、改めてファーストコンタクトの重要性を実感しました。講演では、我々医療従事者が気を付けるべき、顔の表情(笑顔)、ジャスチャー、話し方(声のトーン、抑揚)などを、1つ1つ丁寧に解説しており、とても勉強になりました。
「ファーストコンタクトが上手になるテクニック」として、1. 見られていることを意識する、2. 患者さんの性格を予想する、3. 患者さんに合わせる、4. 自分のスタイルを知ることを挙げており、若手の技師のみならず全ての技師が習得するべき技術であると感じました。自分のコミュニケーションスタイルを知るために、「ソーシャルスタイル理論」というものが存在するようですので、興味を持った方はインターネットで検索して分析してみると良いかと思います。
シンポジウム1「キャリアアップのためのチャレンジ」では、3名の先生が登壇し、国際学会での発表、学位取得、キャリアハイを経験した立場から、その経緯やアドバイスなどを聞くことができました。私自身も、数年目に国際学会(ECR、RSNA)を経験し、社会人大学院生として学位を取得しましたので、自分の経験や考え方と照らし合わせながら、各先生の講演を聞いていました。学位取得やキャリアアップのプロセスは個人で異なりますが、共通していることは、大事なのは国際学会で発表を経験してから、学位を取得してからであり、職場や地域、社会にどのような形で還元していていくかということでした。「20代は専門を定め、30代は専門を深め、40代は専門をまとめ、50代は専門を後世に伝える」という言葉を演者の水井先生は紹介していましたが、得た知識や技術をいかにして伝承していくかが大事であると実感しました。私自身も40代に差し掛かり、学位を取得することができましたが、まだまだ技術者としても研究者としても未熟であり、専門をまとめるには道半ばであります。今回の講演を聞いて、常に謙虚な姿勢を持ち続けること、そして日頃サポートしてくれている仲間や職場の同僚の方に対する感謝の気持ちを忘れないようにしなくてはと思いました。
特別講演では、CTTFの代表世話人である石風呂実先生(東京健康科学大学ベトナム)から「Challenge ! – Go to the next step –」というタイトルでお話がありました。石風呂先生は、ご存知の通り大学病院に長い間勤務されていましたが、早期退職され現在はベトナムの診療放射線技師の養成学校にて教員を務めています。講演の中では、なぜ海外に行くことを決意したのか、そして様々なチャレンジ(国際学会での発表、学位取得、様々な研究活動)をどのように進めてきたのかということを紹介していました。私はこの講演を聞いて、石風呂先生が診療放射線技師の仕事やCTに誇りを持っていること、職場の若手技師、同じ志を持った仲間をとても大事にしており、このポリシーを実現するために、これまで活動されてきたのだと実感しました。「迷いながら自分の信じた道をまっすぐ突き進む」「夢と希望が語れる、誇れる職種であること」「生涯現役で頑張る」という石風呂先生の考えは、我々に対するメッセージでもあると感じました。我々は限られた場所と限られた時間で活動しなくてはいけないため、仲間と繋がり、知見を広げながら行動することが必要であると教えてもらうことができました。
CTTFも第20回を終えて1つの節目を迎えました。代表世話人である石風呂先生、世話人の平野先生、市川先生が退任され、今後は新しい体制でスタートするとのことでした。CTTFは、CTの撮影技術の発展を支えた伝統のある研究会でありますので、また今後も楽しみに参加していきたいと思います。
国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 放射線部
川内 覚