イベント参加報告

2022学会・研究会・セミナー参加報告

2022.02.22

画論29th 参加報告

29回目となる『画論The Best Image』が12月19日オンラインにて開催されました。今回はCT、MRI、超音波の3部門に417演題のエントリーがあり、46演題が優秀賞に選ばれ本戦に臨んでいます。私も観戦者としてオンラインで参加しました。画論29thの様子を掻い掴んで報告します。なお、高精細CTであるAquilion Precision部門の演題につきましては杏林大学医学部付属病院 清水様が同ホームページ上に参加報告を掲載されているのでそちらをご覧ください。


今回の首都圏の受賞演題は、1~160列部門で最優秀賞・テクニカル賞のダブル受賞となった社会福祉法人恩賜財団 済生会横浜市東部病院『Hybrid ERにおけるOne stop stroke protocolを用いた急性期脳梗塞』、Aquilion Precision部門でテクニカル賞を受賞した国立がん研究センター 中央病院『外陰がん』、優秀賞を受賞した杏林大学医学部付属病院『脳腫瘍手術支援 Multi modality fusion』となっています。受賞された施設の皆様、おめでとうございます。


まずは1~160列部門でみごとダブル受賞となった済生会横浜市東部病院『Hybrid ERにおけるOne stop stroke protocolを用いた急性期脳梗塞』の報告です。One stop stroke protocolとはTBT変法を用いる事でCT Perfusion(CTP)と体幹部CTAを1回の造影で一連の撮影として行うprotocolであると解説がありました。1回の造影で撮影を行うため検査時間は大幅に短縮するだけでなく、体幹部CTAはTBTの原理を用いる事で少ない造影剤量にも関わらず十分なCT値が得られていました。さらにVitreaのソフトウェア『Brain Perfusion』を用いる事で画像転送と同時にCTPの解析が自動的に開始され閉塞血管の確認と虚血部位の定量化も短時間で可能と説明がありました。そのうえHybrid ERで施行する事で、検査・診断から治療への迅速な移行が可能です。One stop stroke protocol + Vitrea + Hybrid ERの3点セットはTIME IS BRAINとされる急性期脳梗塞の早期治療に対して非常に強力なシステムであると感じました。さすが最優秀演題!でした。


また、AiCE Brain LCDを活用した2演題は非常に有用性が高いと感じました。


Aquilion ONE部門での松江市立病院『ヨードアレルギー歴のある患者の大腸がん術前検査』では再構成パラメータにAiCE Brain LCDを利用することで、非造影にも関わらず造影CTと比較しても十分に臨床的に有益な血管3D画像の作成が可能となっていました。


1~160列部門での独立行政法人国立病院機構 信州上田医療センター『 右小指屈筋腱皮下断裂』ではAiCE Brain LCDにより手の屈筋腱が明瞭に描出されていただけでなく、AiCE Brain LCDのPartial MIPはMRIの脂肪抑制 PDWIと同等に深指屈筋断端の確認が出来ていました。


AiCE Brain LCDはBrain以外の領域においても非常に有効に活用させており、今後も様々な活用方法が期待できる再構成パラメータと感じました。


表彰式前の特別公演では順天堂大学・学長 新井一先生が『脳神経外科学の発展をもたらしたneuroimagingの進歩』と題し、1975年に国内にCTが導入されてから始まった画像技術の目まぐるしい進歩がいかに治療に貢献してきたかを臨床例と共に詳細に解説されていました。新井先生はさいごに『神経科学と脳神経外科。この両者をつなぐ重要なツールがneuroimagingであり、neuroimagingの進歩により脳外科医は救われてきた。』と締めくくられていました。neuroimagingを含めた画像技術は日進月歩です。診療放射線技師として常に進歩していく必要があると感じました。そして、進歩の最先端の一翼を担うものこそ『画論』であると今回の画論を通して思いました。


 

平塚市民病院

藤代 渉

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