イベント参加報告

2022学会・研究会・セミナー参加報告

2022.05.09

JRC2022 印象記

2022年4月14日,この時期にしては肌寒い小雨が降る中,JRC2022が開幕しました.今年も何とか会場へ足を運ぶことができ,参加人数は実感では前年度と同じくらいで,落ち着いた雰囲気の中スタートしました.本学会ではマスク無しの発表に対応しており,演者が選択できるようになっていました.ご施設の判断もあると思いますが,演者はマスクを着用しながらの発表というストレスから解放され,聴者も拝聴しやすい環境となっていました.


本学会は会場参加とweb参加の両方を可能としたハイブリッド開催となっており,会場環境のみならずwebによるコンテンツ配信も高品質な環境で拝聴可能でした.学会参加者は存分に勉強できる素晴らしい環境となっていました.


口述研究の『CT機械学習・深層学習』のセッションでは,CT画像を病態分類するにあたり再構成法がどのように影響するのかといった研究や,single energy CTでもdual energy CTと同様の画像解析が可能であるかを検討した研究,肝臓ダイナミック造影検査における最適な造影効果や注入速度を予測する研究,画像高精細化に関する研究など興味深く拝聴しました.座長の先生より機械学習によって得られた結果に対する評価方法も合わせて考えていかなくてはならないこと,今後は通常の環境下ではない状況において判断が難しいところを機械学習で予測できるような研究に期待するといった総評があり,サンプルサイズや画像形式などプラットホームに依存する部分も合わせて今後の研究にも注目したいと思います.


『CTノイズ低減』のセッションでは,高精細CTに搭載された新しいDeep Learning再構成 (DLR) であるAdvanced intelligent Clear-IQ Engine (AiCE) Body Sharpの物理評価に関する報告がありました.従来のAiCE Bodyに比べ解像特性に優れ再構成時間も約40%短縮されており,ファントム画像による比較においても良好な画質をみることができました.当院ではDLRが導入されていないため,臨床評価の報告も待ち遠しく感じました.本セッションでは画像ノイズ特性を示すnoise power spectrum (NPS) の比較評価法に関する議論があり,NPSによるノイズ量の定量的な比較評価の現状について理解しました.また,新しい再構成手法や新しい領域の物理評価を行うにあたって,装置性能を十分に活かすことを前提として,装置スペックと臨床的背景を踏まえた物理特性の指標を決めていくことの重要性を再認識しました.


CT,MR,SPECT,PETといった各モダリティのアーチファクト発生についてどう捉え,どう対応するかといったシンポジウムを拝聴しました.CT領域は当ユーザー会代表の高木先生がご講演されており,アーチファクトの理論的な発生要因からその対策まで具体的かつ判りやすい内容となっていました.各モダリティに携わったばかりの若手の方にも是非聞いていただきたいシンポジウムでしたが,日本放射線技術学会より放射線医療技術学叢書「アーチファクトアトラス」として出版されていますので,見逃した方は手に取っていただければと思います.


CTに携わっている者ならば多くの方が手にしたことがある「X線CT撮影における標準化 : ガイドラインGALACTIC」ですが,ワークショップとして『CT撮影における標準化改訂に向けて』が開かれていました.改訂第3版へ向けて,学術研究班の班長である高木先生をはじめ各領域を担当されている先生方から改訂にあたっての方向性や検討事項についての説明がありました.放射線科医としてガイドラインの監修をされている井田正博先生のご講演もあり,「CT撮影の標準化」はCT装置の臨床使用において,患者さんのみならず社会的にも極めて重要なガイドラインであることを理解しました.

金曜の午後はITEM2022に参加しました.今回はキヤノンメディカルシステムズ社やザイオソフト社など多くの医療機器メーカーから新製品の発表があり,私が参加した金曜日の会場は新しい時代への幕開けに相応しい活気に満ち溢れていました.キヤノンのブースでは多くの展示がありましたが,新しく発表されたAquilion ServeのCT装置本体とコンソールの詳細をみることができました.


ブースではAutomatic Camera Positioningによる新しいワークフローを体験しました.ガントリ内に装備されたカメラで患者さんの体位を認識し,ポジショニングを自動で合わせる機能ですが,とても使いやすい印象で,ガントリ内にカメラが内蔵されているため,架台周りもシンプルで違和感もなく患者さんにも優しい設計となっていました.その他,ガントリ内のLED照明やガントリ操作のタッチパネル化,寝台上に設置可能な作業台などもあり,随所に新しい装備をみることができました.

スキャンコンソール・操作系では,27インチの大型モニタと操作画面,新しい位置決めヘリカルスキャンの説明を受けました.操作画面はこれまでのインターフェイスが一新されており,Automatic Scan Planningによる自動スキャン範囲設定機能や多相スキャンなど複雑化するスキャンプランを分かりやすくするレイアウト表示など,27インチ大型モニタの採用なども含めワークフローの大幅な改善が期待できるものでした.


Aquilion Serveでは位置決め用画像の取得方法が低線量3次元ヘリカルスキャン「3D Landmark Scan」として新しくなりました.SilverBeam Filterによって低エネルギー側のX線を低減することで従来の位置決め撮影と同程度の被ばく線量となり,これまでより適切な撮影範囲の設定が自動で可能とのことでした.位置決め用画像の3次元化は様々なメリットが考えられ,Real Prep.のために取得している基準画像が不要になることや,ターゲットを絞った表示FOVの事前設定が可能になり,救急においては明らかな頭蓋内出血など本スキャン前にいち早く判別できれば迅速な診療へと繋がる可能性があり,CT-AECの精度向上も含め多くの場面で有用性を期待できると実感しました.


その他,心臓領域において新しいDLRであるPrecise IQ Engine(PIQE) の臨床画像をみることができました.PIQEはAquilion Precisionの高精細画像を教師データとしてAquilion ONEでも高精細な画像が得られるDLRで,面検出器CTのメリットと高精細CTのメリットの両方を享受できる再構成技術です.大幅な解像特性の向上により冠動脈ステントの内腔や血管辺縁といった領域において高精細な画像をみることができました.物理評価や臨床評価の報告も楽しみであり,装置や検査部位の適応拡大も含め次世代のDLRとして今後の動向に注目していきたいと思います.


本学会のメインテーマは「未来への潮流と変革 Radiology-A Key for the paradigm shift」となっており,CT関係でも多くの場面でこのテーマを感じることができ,多くのことを学び,体験することが出来ました.新しい潮流がどのようにこれからの未来をつくっていくのか本当に楽しみとなった学会でした.


最後になりますが,未だコロナウィルス感染症の影響がある大変な状況にも関わらず,研究発表をされた演者の皆様,講師の皆様,企業の皆様,そして運営に携わって学会を開催・運営をしていただいた関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます.


聖マリアンナ医科大学病院 画像センター

小川泰良

ページトップへ