イベント参加報告

2015学会・研究会・セミナー参加報告

2015.04.25

JRC2015参加報告 PhyZiodynamics

Aquilion oneのArea Detectorが可能にした4DイメージとPhyZiodynamics(以下、PhyZio)の併用は適合性が良く、PhyZio処理を行った4Dイメージの滑らかな動きに衝撃を受けた方も多いと思います。ただ、PhyZioの性能評価や補完された画像の信憑性については、まだ議論が不十分であると思います。今回、JSRTの口述演題とランチョンセミナーにてPhyZioに関するトピックスがあったので、報告致します。

まず、PhyZiodynamicsとはZiostation2のphase間の補完機能を搭載したPost Processingソフトです。非剛体レジストレーションと4Dボクセルトラッキング技術により様々な動態・機能評価の向上が期待されます。また、4Dボクセルトラッキング技術により、phase間の連続性の無いボクセルの重み付けを減らし、再構成を行う事でノイズの低減効果も期待されます。

JSRT 口述演題

2つの演題が神戸大学病院より報告されました。演題46『短時間幅の時系列CTデータを用いたMotion coherence解析画像の画質評価』では、ファントム静止状態で3phase撮影した後にPhyZioで処理を行い、処理前後の画像のノイズ・低コントラスト・空間分解能の比較した結果を検証しており、結果は、PhyZio処理する事で画像のノイズと低コントラストは改善し、空間分解能は維持された事から、CT値や分解能の低下なく、有意なノイズ低減が可能である。という報告でした。質疑応答ではフロアから「動体ファントムを用いた検証は必須であると考える一方で、CTの被ばく低減に対して可能性を感じる」とコメントがありました。

演題278『Motion Coherence解析を用いた心臓CTにおける線量低減の検討』では前述の内容に加え、心臓CTでの臨床画像を用いたSD評価によりPhyZio処理による線量低減について示されていました。結果は、PhyZioを用いる事で50%の線量低減が可能で、最大75%の低減が可能と示されていました。やはり、被ばく低減に可能性を感じる演題だったのですが、PhyZioを使用するだけで心臓CTの線量を半分以下に低減する事は困難でないかと疑問視する意見がありました。また、撮影時の心拍数にも依存すると考えられるので、今後の検証に注目したいです。

ランチョンセミナー

私が参加した東芝メディカル社とzio社のランチョンでもPhyZioが取り上げられていたので報告致します。

東芝メディカル社ランチョンでは、TAVI術前のプランニングにおいてPhyZioの専用ソフトを使用した弁口面積等の計測が行われていた。PhyZioを使用する事で1心拍中に変動する値の詳細な計測を可能にしていました。

Zio社のランチョンでは嚥下CTにおけるPhyZioの有用性として、非剛体レジストレーションと4Dボクセルトラッキング技術によって筋長の計測の自動化が可能となり作業時間の大幅な短縮に繋がっている事やPhase間を補完することでより詳細な動きの解析に役立てているとの紹介がありました。更に新しい機能として容積を自動計測する機能を用いて、咽頭腔の経時的な容積計測を可能にしていました。

心臓の新しいソフトである心筋ストレイン解析は、薬剤負荷なしに心臓perfusionCTの代わりとなる可能性も示唆されていました。

まとめ 

今大会で見られた4DCT画像のほとんどはPhyZioによって処理された滑らかな動画でした。

PhyZiodynamicsを単なる発表用ツールとしてではなく被ばく低減や手作業では出来ない処理や解析などの有用な使用方法が期待されていると感じます。

平塚市民病院 放射線技術科 藤代渉

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