イベント参加報告
2016年学会・研究会・セミナー参加報告
JRC2016参加報告
第73回日本放射線技術学会総会学術大会に私は初日以外の3日間参加してきました。ご存知の通り今大会から発表スライドは全て英語化となり、英語口述の発表も増加したことが従来との大きな変化です。もちろん聴講する側にはそれなりの準備と心構えが必要。と思うのは私だけではないはずです。ただ、この大会の優しいところはCyposというシステム。気になった発表内容は事前に閲覧でき、日本語のメモも記載されているため、内容を理解し、把握しやすいです。と言いながら、実際の発表を聞くときは日本語発表の方が正直嬉しいですし、いきなり聞く英語発表は理解できませんでした。このように聞き手としての問題(障害)はさほど大きくありませんが、発表者は大会に向け、まず日本語で準備、そこから英語化、スライド作成、プレゼンの練習までしていかなければなりません。その作業の中でも伝わりやすいスライド、伝わりやすい文にまとめあげることがとても重要だと感じました。従来と比較し、発表することに対し明らかにスタミナを使うことは間違いありません。ということが私の正直な感想です。
学術大会の内容で私の印象に残ったことは、最近話題となっている「診療放射線技師による読影補助」に関するシンポジウムであり、「読影補助の視点から、±αの撮影技術」というテーマで開催されました。読影補助から連想しますと、撮影した画像に対し我々の意見を依頼医師に伝える。的な発想をしがちでした。しかし我々の仕事である「撮影」ということに視点を向けますと、「医師が求める画像」、「目的部位が評価しやすい画像」を撮影するということが最大の読影補助である。ということを聞き、即納得できました。
救急の骨折診断で、放射線科の研修医と診療放射線技師の読影力を比較したところ、研修医は94%の率で骨折を診断、診療放射線技師は99%の精度で骨折疑いを発見しており、救急現場では我々技師の意見が手助けとなるケースが多いそうです。また、外傷CTの依頼に対しては、オーバートリアージになりうることも多く、状況を把握し判断、正当性(エビデンス)に基づき、撮影項目の「追加」、ときには「取り消す」といった提案も救急現場では大切であり、依頼された検査に対し、何が必要で何を診断したいのか理解することが必要だとのことでした。
「検像における再撮影及び各種追加画像処理の判断基準」の話でも、我々診療放射線技師の撮影業務は、医師から検査依頼があり、その趣旨に合致した画像提供をすること。また診断に役立つ画像提供を行うことである。つまりこのこと自体が「読影の補助」に繋がる。という言葉から始まりました。撮影された画像の合格基準の定義は、必ずしも「チャンピオン画像 = 診断に適した画像」というわけではなく、①依頼に合っているのか ②基準を満たしているか、が大切になってきます。再撮影に対して、ロス画像をそのままにするのではなく、しっかりと記録し検討する必要があり、現代のフィルムレスに合わせた検像法が必要になります。また再撮影の必要性の検討も重要であると同時に、医師の意見の集約のためカンファへ積極的に参加することも大切とのことでした。再撮影には判断する知識も撮影技術も必要であり、ロス画像をそのまま無駄にするのではなく、次に活かすため、それらを教材に部署内で情報共有・勉強会を行うことが重要となり、今後、撮影技術の向上も含め、読影補助に繋がるトレーニングは我々にとって大きな課題になってくると思いました。
もちろん今回もしっかり二晩「飲み二ケーション」をしてきました。今回の「出会い」も「刺激」もとても貴重な糧となり、良いモチベーションアップに繋がりました。ある施設の有名な方ともダンスセッションを行うことができ、屋形船にも私の心にも熱いBeatを刻むことができた夜でした。
以上、報告とさせていただきます。
亀田総合病院 小野雄 一朗