イベント参加報告

2016ユーザー会参加報告

2016.11.26

首都圏東芝CTユーザ会 in 山梨(第2回)

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6月25日(土)、山梨大学医学部附属病院放射線部において、「いまさら聞けないCTDI-CTDI再確認-」というテーマでCTDIの講義とCTDI測定実習を行いました。


この企画は、首都圏東芝CTユーザー会の山梨地区における活動の第2回目となる会です。参加者は、6施設15名でした。昨年4月に診断参考レベルDRLが発表され、自施設の撮影条件を見直すことが増えているのではないでしょうか?そこで、この機会に改めてCTDIについて勉強し、撮影条件見直しに役立つことが出来れば良いのではないかとの思いで今回のテーマを決定しました。


まずはじめに、東芝より、最新情報としてITEM2016の展示内容の紹介がありました。今年の4月に新しい320列ADCT、Aquilion ONE GENESIS Editionが販売開始され、被ばく低減技術として、新しいX線光学系技術のPURE ViSION Opticsや逐次近似再構成 FIRSTの紹介がありました。PURE ViSION OpticsはX線の発生から検出器までの一連の中で用いられる技術であり、従来より低いエネルギーをカットすることや、素材・カッティング技術を見直した検出器を用いることで被ばく低減を可能にしているようです。

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東芝からのITEM報告後、東芝ユーザー会山梨地区代表、山梨大学 大島よりCTDIに関する講義を行いました。なぜ線量指標が必要なのか、またCTDIにはなぜ複数の表記方法(CTDI100やCTDIvolなど)があるか?またCTDI測定に関しては、計算方法をはじめ、線量計によって計算が変わることや装置によって値が変わることなど、留意点についての講義がありました。東芝のCTDI表示値も、versionによって計算方法が異なることもあるため、異なるversionの装置では表示値が少し変わってきます(詳しくは【CTアプリからのワンポイントアドバイス】→【東芝CT線量表示値 装置Version別概要】)。また、CTDIは体格を考慮した指標でないなど注意点もあります。最後はCT検査を行う技師として、CTDIの認識があっているか?値を確認しているか?との再確認が重要であると締めくくっていました。

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講義後はCTDIの実測を行いました。今回の計測はCT:Aquilion ONE、線量計:Radcalを用いました。測定マニュアルと記入シートを参加者に配布し、それをもとに測定を進めます。今回は16cmファントムを撮影し、CTDI表示値と線量測定値から計算で求めたCTDI計測値を比較しました。ファントムや線量計の設置方法の説明、ファントム各点の撮影は、1回で5曝射行い、曝射間隔を曝射時間+曝射時間を5で割った時間に設定しました(スターメソッド)。東芝のCTは、管球位置が1回転で同じ位置に戻ってくるために曝射間隔=曝射時間としてしまうと管球に近い点の照射量が増え、照射が不均一になることを防ぎ、均一な照射とするために曝射間隔を設定しました。実機を用いて測定したからこそ、気をつける点も含め手順を覚えやすかったのではないかと思います。

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線量測定が終わったら、次に計算です。今回はCTDIの理解を深めるため、あえてエクセルは用いず手計算によりCTDIを求めました。計算にはスマホの計算機を使いました。ユーザー同士で相談しあいながら、線積分量・CTDI100・CTDIw・CTDIvolの順に計算していきます。その中でも、ビーム幅の単位がcmか、など計算で間違いやすいポイントをレクチャーしました。また、ファントムは寝台上で撮影を行ったので、寝台の吸収分を最後に補正することもポイントです。今回装置表示値と測定値の誤差は2%でした。誤差は大体5-10%以内に収まりますので、今回の結果は妥当であり、正しく線量測定ができたと考えられます。

今回のユーザー会では、CTDIの講義に加え実測を行うことでCTDIへの理解が深まったと思います。参加された皆様が、各施設において撮影条件を見直すことがあった際に、本会での経験がお役に立てば幸いです。

本会にご協力して頂いた皆様、また参加してくださった皆様に心よりお礼申し上げます。


山梨大学医学部附属病院 放射線部 大島 信二

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